数年前に、ある人から青木葉鉱山における1929(昭和4)年の「坑夫取立免状」を頂戴した(原本からのコピー)。取立免状そのものを見ることは初めてのことであり、それだけで嬉しくはあり気にはなっていたが、何もせずにそのままにしていた。
内容的に目新しいことは何もないが、キチンと目を通し、自分が知らないこと、分かっていないこと、いままでに知ったこととの関連性などを、自分のメモとしてまとめておこうと思う。
まとめるに当たっては2回に分ける。1回目はこの「坑夫取立免状」を、資料的意味を込めてそのままに記載する。旧字体・異体字も(できるだけ)そのままにする。表紙とその次の頁および最後の2頁は図として載せる。全てを図としてそのまま載せるのではなく、わざわざ書き改めるのは、①書き改めることで読みやすくなること、②精読することになること、③掲載ボリュームを減らすこと、④データとして取り扱いやすくなること、等にある。
2回目は本取立免状の内容を確認することにある。行き当たりばったりであるので、どうまとめられるか不安であるが、出来るだけ一般論的な事柄に言及して整理しようとも考えている。取立免状や山中友子については多くの研究書や論文があることは十分に承知しているが、自分の知らないことや理解していないこと、再確認したいことを中心に記述する。
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(注:以下、子分以外の人名末尾には押印がある。子分に押印はない。)
親分 越後國産 神田義丸
依母兄 岩代國産 渡邊邦吾、 子分 越後國出生 五十嵐運次郎
親分 羽後國産 永井寅吉、
依母兄 岩代國産 松本亀雄、
子分 岩代國出生 山崎武
親分 越後國住人 竹内政治
兄分 岩代國住人 鎌田惣太郎、 子分 相模國出生 秋本萬治
親分 岩代國産 吾妻梅雄
依母兄 岩代國産 桑原登、 子分 岩代國出生 佐藤彌四郎
親分 岩代國産 伊藤平治
依母兄 岩代國産 佐藤彌三郎、 子分 岩代國出生 佐藤秀
親分 羽後國住人 後藤喜三郎
兄分 岩代國住人 佐藤信明、 子分 岩代國出生 橋本松雄
親分 岩代國住人 田中留吉
兄分 岩代國住人 鈴木定之助、 子分 岩代國出生 入倉源吉
親分 岩代國住人 藤井軍一
兄分 岩代國住人 添田一見、 子分 岩代國出生 安濟平次郎
親分 岩代國産 矢吹喜代太
依母兄 岩代國産 大塚重藏、
子分 岩代國出生 齋藤長吾
親分 岩代國住人 川名秀一
兄分 岩代國住人 國分孫治、 子分 岩代國出生 星吉臣
親分 岩代國住人 小沼元治
兄分 岩代國住人 原田賀正、 子分 岩代國出生 堀口勝一
親分 岩代國産 佐原實
依母兄 岩代國産 山口軍藏、 子分 岩代國出生 添田正江
浪人立會
客人立會
隣山立會
水澤同盟交際所
和賀聯合交際所 岩手縣和賀聯合交際事務所印
羽後國産 北條善次郎、 陸中國住人 早川官次郎
羽後國産 髙橋吉治、 羽後國産 佐々木松次郎、
老母立會
越後國産 神田義丸、 羽後國産 舟木繁吉
大當番立會
羽後國産 永井寅吉
箱元立會
飛騨國住人 長田元助
頭役立會
越後國住人 渡邉伴吉
事務所立會
大和國出生 小平政照
飯場立會
羽後國産 沓澤多吉
自坑夫立會
越後國住人 府中榮助
渡坑夫立會
羽後國産 佐々木與七
平立會
羽前國産 菱沼藤太郎、 岩代國産 川上酉吉
羽後國産 一ノ關豊太郎、 越後國住人 中川政五郎
岩代國住人 吉成久次郎、 羽後國産 髙橋專吉
羽後國産 荒川幾松、 越後國住人 府中研司
羽後國産 佐藤鉄之助、 岩代國住人 渡邉惣太郎
岩代國産 原田今朝治、 羽後國産 五十嵐彌三郎
陸中國産 赤坂勝太郎、 越後國住人 今井義雄
岩代國住人 髙原長之助、 岩代國産 菊多勝四郎
岩代國住人 藤田一、 羽後國住人 山本鉄治
岩代國産 安濟孫惠、 岩代國産 小林勝四郎
岩代國住人 根本耕作、 岩代國住人 橋本留作
岩代國産 清野雲次郎、 岩代國住人 渡邊卯之助
岩代國住人 原田長右エ門、 越後國住人 五十嵐常雄
羽後國産 藤岡庄吉、 羽後國産 後藤喜代一
岩代國産 渡邊初見、 岩代國産 𣘺本今朝治
岩代國産 佐藤豊吉、 岩代國産 鈴木菊藏
岩代國住人 橋本利光、 岩代國産 増子金一
岩代國産 渡邊兵藏、 岩代國住人 石田彌惣治
岩代國産 橋本利江、 岩代國住人 小沼元市
岩代國産 増子金雄、 岩代國住人 鈴木林十
岩代國産 渡邊今朝吉、 岩代國産 近藤今朝夫
岩代國住人 青野正成、 越後國産 坂爪清
岩代國住人 佐藤見吉、 岩代國産 後藤春治
岩代國産 五十嵐美徳、 岩代國産 橋本榮
岩代國産 矢吹喜代一、 岩代國産 渡邊吉次
岩代國産 大𣘺万吉、 岩代國住人 橋本卯傳治
岩代國産 佐藤大五郎、 岩代國住人 佐々木喜藏
岩代國産 髙原政雄、 岩代國産 佐藤重蔵
越後國産 坂爪正夫
中老立會
岩代國住人 添田一見、 岩代國住人 國分孫治
岩代國住人 原田賀正
鎚分
岩代國住人 紺野満壽
自坑夫世話人
下野國住人 屋代武男、 岩代國住人 菊地金作
岩代國住人 山口忠作、 岩代國住人 阿部三郎,
堀子世話人
岩代國産 佐藤孫四郎、 岩代國産 三浦登、 岩代國産 渡邊虎太郎
大工世話人
岩代國産 鈴木由太郎、 羽前國産 小野谷藏
諸鑛山不此格例
三法
一 金格子破之事
一 柱根堀之事
一 鑿角先送之事
右三ケ條相背ニ於テハ屹度可爲山例也
一、 四本柱四ツ留二可寄
但シ壹尺六寸榊矢入へシ
出山入山
一、税金格孑者七五三ニ可巻事
四ツ留名前
一 左正面柱 天照皇大神宮
一 右正面柱 春日大明神
一 左二本目 八幡大明神
一 右二本目 山神宮
一 左三本目 稻荷大明神
一 右三本目 不動明王
右三ケ條於相背者屹度山例可申者也
布木
藥師如來
一 三十六枚ノ矢抜者天ノ三十六童子形取也
化粧木
一 神前ノ鳥居ヲ表ス也
一 喧嘩口論致問敷事
右之條々堅ク相守申者也
出世條例
第壹條
一、 當山二於テ出世ヲ爲セシ坑夫タル者ハ平素能ク其ノ職親ヲ父母ノ如ク貴フヘキ
モノニシテ必ス不遜ノ擧動アルヘカラザル事
第貳条
一、當山ニ於テ出世ナセシ坑夫タル者ハ三ケ年間ハ如何ナル事情アリト雖モ他ニ行義
務ニ背クベカラザル事
但シ自身ノ病氣又ハ父母ノ病氣及徴兵適齡二相當シ止ム事ヲ得ス暇ヲ請フノ場合
ニ 於テハ病氣ハ醫師ノ診斷書ヲ要シ徴兵召集二付テハ通知書ノ確然タルモノヲ
證明スヘシ
第三條
一、今回出世ヲ爲セシ免狀ハ實行シタル事ヲ各自ニ示シ而シテ三ケ年間鎚分=於 テ其
職二稱フヤ否ヤヲ看爲シ豫リ置キ別條但シ書ノ場合ニ至リテ之ヲ與フルモノトス
第四條
一、職親ヲ輕蔑シ其ノ道ヲ盡サス又ハ懶惰ニシテ職業ヲ怠リ脱走ヲ爲シ他人二迷 惑
ヲ掛ケタル者ハ免狀ヲ取消シ之カ云々明記シ諸鑛山ニ通知シテ其職ヲ停止スル
コト
第五條
一、前各條抵觸シタルモノハ他山立會ヲ要セスシテ整理及ヒ鎚分世話人ノ熟考ヲ 以
テ免狀ヲ取消スヘキ事
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